ジャングル

女神ちゃん

2010年04月17日 01:50



昼間だというのに深く茂る林の中はうす暗く、先ほどのスコールのせいか蒸し暑くジメジメしている
垂れ下がる蔦
露に濡れたシダの大きな葉
足元に絡みつく木の根
聞いたことのないような動物の鳴き声
動物がゆらすのか時々ザワザワと鳴る木々の枝

その密林の中を歩いている
20~30人が列をつくって
大人もいる
女性が3人 彼女たちは保育士である 
あとは子ども
皆スモックを着ている
そう 今日は遠足
楽しい遠足

子どもたちは転ばないように、はぐれないように互いに手をつなぎ、それでも明るく歌を歌いながら足を進めていた

今回の遠足の目的地は、「お母さんの待つところ」
子どもたちはただそれしか聞かされていない
「今日はお母さんの待ってるところへ行きますよ~」
それしか聞かされていない
なぜジャングルの中を歩いているのか、そんなことは考えない
なぜか
それは子どもだからだ
子どもたちはお母さんが待ってるところに行きたいからただ歩いているのだ


「みんなたくさん歩いたからこの辺で一休みしましょうね~」
子どもたちはわらわらといくつかのグループをつくり座った
そこへ先生がおやつのビスケットをくばる

「食べながら園長先生のお話を聞いてくださいね。みんなが頑張って歩いてきたのでお母さんたちが待ってるところまであと少しになりました。そこへ着いたらお弁当にしましょうね」

おしっこをしたいと言う子どもは先生に連れられ用を足した

再び子どもたちは列をなし、言われるともなくお互い手をとりあい歩き始めた

もうすぐお弁当とお母さん
もうすぐお弁当とお母さん

どの子も先ほどまでとは目の輝きが違い足取りも軽やかに見えた

大きな曲がりくねったのぼりを回り込むとそこにコンクリートの建物が見えてきた
皆の顔に明かりがさしてきて自然に足も速くなった







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