ジャングル 2
「先生が先に行って様子をみてきます。みんなはここでいい子にして待っててね。出来る人~!」
「はーい!!」
小さな手がいくつも元気よくあがる
ようこ先生は意を決したようにザックのベルトを締めなおし、帽子をかぶりなおした
「ようこ先生、気をつけてねー!」
子どもたちは少し不安げな面持ちで見送った
「じゃあみんなはここでしゃがんで待ってましょうね」
園長先生がそう言うと子どもたちは大人しくその場にしゃがんだ
しばらく静かにしていた子どもたちだったが誰からともなくボソボソとしゃべりはじめた
「ゆきちゃんのお弁当はタコさんウィンナー入ってる?」
「はやと、帰ったらポケモンでバトルしようぜ」
「今日ね、うちにわんちゃんがくるんだよ~」
子どもたちは無邪気に思い思いの話をしている
そんな光景を見て先生たちも安心してしゃがみこんだ
ぬるい風が汗をぬぐっていく
・・・
ズンッ ズンッ
ザワザワしていた子どもたちの話し声がピタッと止んだ
園長先生も額の汗をぬぐっていた手を止めて耳をすます
「なぁなぁ、たけし、なんか地面 揺れてないか?」
はやとがたけしの腕を突っつく
・・・
ズンッ ズンッ ズンッ
「先生ー!」
まきが立ち上がる 今にも泣き出しそうな顔で歯を喰いしばっている
「落ち着いて!みんな立っちゃだめ!しゃがんだままよ! 地震かもしれないから、となりのお友達と手をつないで!手を離しちゃだめよ!!」
・・ズンッ ズンッ ズンッッ
今上がってきたばかりの道の下のほうの木々ががなんだか揺れている
ガサガサッ!バキバキッ!!!
何かがいる
地震ではない
何か巨大なものがこちらに向かって進んでいるのだ
子どもたちはいっせいに立ち上がり、先生の元に駆け寄った
と、突然子どもたちのすぐ脇の茂みがガサガサと大きく揺れた