スキマ
あんまりいい天気だったので
洗濯の途中ではあったのですが
アパートの駐車場に古くなって食べれなくなった米をまいてみました
あんまり暖かいのでしばらく座ってボンヤリしてみることにしました
しばらくしますとちゅんちゅんとスズメがやって来まして
まかれた米をついばみ始めました
1羽、2羽、3羽・・・
私が動かないのをいいことに スズメの数は増えていきます
6羽、7羽・・・10羽、11羽、12羽・・・
ちゅんちゅんの音量ももはや尋常ではありません
これでは近所から苦情がきてしまいます
野良猫に勝手に餌を与え、飼っているんじゃないと言い切る迷惑おばさんとなんらかわりない
という事態になってしまいます
それでは評判が悪くなります
それはちょっと困るので、私は外で見ていることをあきらめ
家の中に入り二階の窓からこっそり眺めることにしたのです
ところがあんまり二階が暖かいので
うっかりうたた寝をはじめてしまいました
どのくらい寝ていたのでしょうか
ふと何かの物音で目が覚めました
ブーン
それは耳のすぐ近くで羽音をたてていました
とっさに窓際に干していた毛布をひっぱり頭からかぶりました
ブーン
蜂はじっとしているわたしのまわりから離れるどころかとまるところ、もしくは巣をかける場所を下見でもするように毛布のすぐ上を飛び回ります
毛布の中にいても刺されそうです
ていうか毛布の上から刺されそうです
ていうか毛布の中はサウナです
毛布の上は蜂
毛布の中はサウナ
このままここにいて刺されて死ぬか・・・脱水で死ぬか・・・
いずれかの道をたどるのはもはや間違いないものとなりました
「自宅の二階で毛布をかぶり死亡、自殺か」
新聞記事にもならないわたしの終末
こうなれば脱出を図るしかありません
毛布から身を出さず、入り口まで
もそもそ ごそごそ
大きな芋虫
その上を飛ぶ蜂
蜂はもしかしてでかい餌を見つけた、とでも思っているんじゃないか?
こいつを、このでかい芋虫を連れて帰れば女王様に喜んでもらえる
とでも思っているんじゃないか?
冗談じゃない
お前の変な趣味のためにわたしの残りの一生を捧げてたまるか
なんとしてでもこいつを振り払わなくては
でかい芋虫はやっとのことで入り口にたどり着くと
えいやっ!
思い切って毛布を跳ね飛ばし
廊下へ転げ出て戸を閉めました
ちゅんちゅん
そこにはいつもの平穏な日常がわたしの帰りを待っていました
ちゅんちゅん ちゅんちゅん