トムウェイツとさかな
通勤途中 橋を渡るので
帰りは必ず 橋の上で立ち止まってしまうのです
自転車のペダルから足を下ろし
真上から見下ろしてみると 大きなマスが川上に頭を向けてゆらゆらしています
川底の小石の びっしりの小石の上を水が途切れることなく流れています
水の色は薄く緑がかっていて 時々どこからか葉っぱが流れてきたりして
あの葉っぱは不意に思いがけない旅に出ちゃったんだなぁ とか
しかもその上に虫なんかが乗ってたりすると(見えないけど)
それこそ思いがけない大冒険に心が躍ります
恋人とめぐり合い 緑まぶしい葉の上で愛を語り
一生を捧げることを誓ったその矢先
いたずらに風が舞い 木の葉と共に飛ばされて
永遠の別れとなってしまった恋人たち
一人橋の上で不憫な虫のことを思い
けれど
川のおおきな流れには逆らえぬものよのう
などと呟き
ふたたび自転車のペダルに足をかけるのです