寝たきり金魚
洗濯洗剤がそろそろなくなりそうなので
いつものやつをいつものように友人(webshop)から分けてもらおうとメールしたら
「わけあって人のお店に置かせてもらってる」
というので行ってみた
駅近くのビルの1階の雑貨屋
体の大きい強そうなお兄さんが出てきて「聞いてますよ」と言ってくれる
おーあったあった
これこれ
でもいつも2袋買うようにしてるので何気に持っていこうとしたら重い
2袋は重い
自転車できてるから他の用事をしてから後で寄ります
とやっていたらその友人がやってきた
友人失業中
期間未定のGW真っ只中
ちょっとしゃべっていたけど仕事のじゃまになるかと思って店内をうろうろしていたら
隅のほうに水槽を見つけた
水大好きなわたしは吸い寄せられるようにガラスの水槽にへばりついた
真四角に近いような水槽の奥の方、水の底の方
金魚が2匹沈んでいる
その周りを他の金魚がつつくように泳いでいる
あー死んどる
と思ったらまだ生きとる
「これ餌になりよる。生きとるのに」
というとお兄さん
「それ生きてるんですよ。それ2軍なんです」
「2軍??」
「近所の方から譲ってもらったんです。 よく見てください、尾ひれとか曲がってたりしてるでしょ。 きれいな金魚を育てる方ってそういう奇形のは選って川に流したりするんですよ。でもなんかかわいそうでもらってきてるんです」
「ふーん」
よく見ると尾ひれが曲がってたり胸びれがいようにちいちゃかったり、なんか口がちゃんと閉じてなかったりしている
はぁ こういうのを二軍というのか
そういえばなにかで読んだことあったな
「左の上のほうのやつみてください。尾びれの途中からないでしょ。ずーっと下向いて水面に浮かんでるんだけど、時々一生懸命泳いで下のほうまできたりするんですよ」
ていうか
ないどころか
人間で言ったら腰から下
両足ない
みたいな感じ
尾びれがないからバランスもとれなく、頭下逆さまになって浮いてるのか
しかも肉片とかが見える
喰われてるのか??
生きながら?
「下のほうで寝てるやつは最初からずーっとそこで寝てるんです。金魚の赤ちゃんて最初はみんなフナみたいに黒いんですよ。みんなそのころからここにいるんだけど、そいつも最初は黒い稚魚でやってきて。で、他のみたいに泳げないけど底のほうで寝たまま餌も食べてちゃんと紅い金魚になってきたんですよ」
周りにそいつよりちょっと大きい金魚が寄ってくる
つつきにきてるのかと思っていたそいつらをよくみていたら
ほんとに周りにいるだけで
つついたりもしてなくて
ふつうに周りで泳いでいる
うちでも金魚飼ってるし、ペットショップでも見かける光景だけど
弱って死んでしまうと他の魚たちの餌になってしまうじゃないか
だけどなぜかここの金魚は違うのだ
「寝たきりなんです。そいつ」
はぁ 寝たきり か
なるほど
寝たきりと死にかけは違うもんな
当たり前のことだけど金魚の世界でもそれが当たり前だってことを教わった
ほんとに生きている、元の氣、元気があるうちは死なない
それはこういう動物のほうが敏感に感じ取ってるんだろうな
なんかすげー
なんかかっこいー
ずーっと見ていたかったけど他の用事もあったのでそのお店をあとにした
そのあと昨日知り合ったステキなお姉さんのお店(古雑貨屋)に寄ったり古着屋に行ったりしてきた
古雑貨屋のステキなお姉さんの話はまた今度書こう
今日は寝たきり金魚でやっぱりもう頭がいっぱいだ