さむい国の住人

女神ちゃん

2012年05月11日 22:36

なんでこんなに寒いのかな
雪が降るのかな
もういっかいお正月来るのかな
サンタクロースになにお願いしようかな

あーさむいさむい



さむい国の住人は
一年中さむいので
髭も髪の毛もぼうぼうにしています
みんなぼうぼうでそれをマフラーのように首に巻いたり
帽子のように頭を覆ったりしています
さむい国の住人は男も女もぼうぼうです
女も髭が生えています
それで顔中髭や髪の毛で覆われているので
パッと見た目には男か女かはわかりません
どこで見分けるのかというと
歯です
女は銀歯
男は金歯をはめています
だからおしゃべりしないことには男か女かわからないのです
でもさむい国の住人はお話好きなので
誰かれかまわず男も女も
「おはよう 今朝はまたよく凍みましたね」
とか
「こんにちは 池の氷がすこし溶けましたね」
なんてあいさつをするので
そのたびに髭の間から金歯や銀歯がきらきら光って
天気のいい日には町中がきらきらしてまぶしいくらいです

そんなまぶしいお天気がやってくる一年に一度のお祭りの日には
男も女も目一杯おしゃれをします
髭を細かい三つ編にするもの
虹色に段に染めるもの
髪の毛と髭でライオンのようにするもの
見事な白髪で白鳥をこしらえるもの
長く伸びた髪の毛で体中を覆い、ドレスのように纏うもの
驚いたのは二人がかりでその伸びた髪と髭を使って馬車まで造ってしまったんだから
もっともトイレにいくのにひとりはいちいち馬車から降りなきゃいけないんで
けっこう面倒くさいんだろうけどね
髭のドレスを脱ぐのだってけっこう大変
髭の靴なんて紐を一度結んだらほどけないんだからもっとも大変です

それでもさむい国の住人はこのお祭りの日をとても楽しみにしているのです
なぜかってその日は春だからです
一年に一度の5日間だけの春
あとはずーっと冬
だからこの5日間はほんとにお祭りなんです
池のほとりでお酒をのんで
花を摘んで髪や髭に飾ったり
普段はありえないような肩や背中を出したドレスを髭で編んだり
見たこともない南国の極楽鳥や
美しい羽根の蝶をまねて求愛ダンスを踊り恋をするのです

5日間のお祭り
5日間だけの春


さむい国の住人はこの春を心待ちにしてさむいさむい冬をすごすのです







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