看護婦
なんかくったくたです
茹で過ぎてしまったほうれん草みたいです
牛乳拭いたあとロッカーに放り込まれくっさくなった雑巾みたいです
今日はもんのすごい疲れました
わたしは好きでこの仕事をやってるわけではありません
「看護婦の仕事だいすき!」
なんて
口が裂けても言えません
「好きなことができて幸せ」
なんて
口が裂けても言えません
「白衣の天使」
なんて誰が言い出したんじゃい
と思います
いままでいろんな仕事してきました
看護婦だけでなく
たまに
うあーこんな楽ならもう看護婦やめてこれ一本にしちゃおうかな
と思うこともあります
(どんな仕事も大変と思いますが)
でも
なんか知らんけどこの仕事に戻ってきてしまうんです
先日みた「ディア・ドクター」の中で
香川照之扮する薬屋さんが刑事に偽の医師を続けていた伊野先生(笑福亭鶴瓶)について質問され、
イスから立ち上がりわざとよろめいて
刑事がぱっと手を出したとき
「今出したその手に愛はありますか?刑事さんわたしのこと愛してないでしょう?そういうものだったんじゃないんですか」
みたいにいうところがあります
納得してしまいました
と同時に
なんか無性に寂しくなって
情けない
というか
人間の本能とか
性とか
空虚
虚無
愛だのなんだのって
正直よくわかりません
無償の奉仕
だなんて
もっとわかりません
でも
目の前で人がよろめいて倒れそうになったら
ぱっと手が出るでしょう
そういうもんなんだ
と
それで
わたしはずっと
看護婦やってるんでしょう
この業界
はっきり言って女ばっかりなんで
摩擦あります
たぶんそれが一番やっかいなんです
どうでもいいんです
ほんとは
そんなことで
いちいち神経すり減らして
バカみたいです
バカです
でも患者さんに罪ないんです
たとえその人の生活態度や背景に問題あっても
看護婦にそれを咎める資格はないんです
けなす資格はないんです
今日は猛烈にそれを感じ
胸の奥からかーっと火みたいなもんがこみ上げてくるのを感じました
そろそろ限界かな
とも思います
でも
例によって
また飲み込んでしまいました
そして
わたしはそれによってよろめいた他人をぱっと
手で受け止めようとしました
たぶん
わたしは
看護婦やっててもそうでなくても
ぜんぜん知らない人、
はたまたこの人きらいだなーって思ってる人でも
誰であっても
目の前で人がよろめいて倒れそうになったら
ぱっと手が出てしまうんだろうと
そう思います
それだけなんだと
そういうもんなんだと
そう思います