玉葱のきもち

雪とけたら
畑のにんにくと玉葱ががんばっておった
緑色の太い芽がびろん
と土から飛び出していた
雪の下でがんばっておった
およそ3か月
じとーと深く雪の下に埋もれて
重い重い雪の下になって
玉葱は何を思っていたのか
隣の玉葱と何を会話していたのか


「寒いなー　今年雪多いよねぇ」

「あーコタツあたりてーな」

「たまには刺身とか食いてーよな」

「おれ馬刺し食いてー」

「南の国行きたいなぁ　ビキニのオネエチャンとか」

「あーいいなー　南の国」

「プールサイドで恋に落ちちゃうのよ　ひひ」

「ひひ　ってお前玉葱じゃん　何言ってんの」

「あーおれら玉葱やったなー」

「玉葱なんだよなー」




雪の下で玉葱は長い冬を越えたのです