荷物
一日一日
天気が変わります
あったかいと思ったら寒い
じりじり暑いと思ったら雨が降る
お空の上のことはわかりません
空の下のこともよくわかってないですけど
荷物送りました
といっても自分宛なんですけど
旅先の自分宛に
車麩とかラーメンとか
荷物や手紙が届くのってうれしい
送り主、自分ですけど
昔一人暮らししていた頃
アパートに帰ったら大家さんが荷物預かっててくれて
でも重いから運べなかったから取りに来て
と言われてとりに行ったらほんとに重い
よいしょよいしょと部屋まで運んで開けてみたら
なんと大玉のスイカが丸ごとごろんと入っていた
それは実家のばあちゃんからで
丁寧に筆で書かれた手紙も一緒に入っていた
「元気でいますか
そちらは暑いでしょうね」
と書きはじめにあった
スイカとダンボールの隙間には
お菓子や缶詰、米も詰め込んであった
数枚に渡るばあちゃんの手紙を
夕陽の差し込むアパートの部屋で
肩からバッグも下ろさないで読んだ
「職場の皆と分けて食べてください
無理をしないで、たまには電話で声をきかせてください」
と結んだ手紙を床におろし
スイカを叩いてみたら
ぱぁんぱぁんと
水をたっぷり含んで今にも割れそうなまでにぎっしりと中身が詰まってる音がした
ばあちゃんが台所でダンボールにスイカそっと入れて
その隙間に米やらお菓子やら缶詰やらを詰め込む姿が目に浮かび
手紙を握りしめて電話の前に座りなおした
「もしもし ばあちゃん?スイカ届いたよ」