松井文、本屋ライブ

女神ちゃん

2014年09月03日 00:15



本のない本屋
その本屋の中に作られた扉の向こうの本屋
そこに並べられた絵本は豪雨の泥水に浸かって波打っている
床にはまだたくさんの絵本が段ボールに入れられ積まれていて、
並べてくれる棚を待っている

松井文のライブはその本のない本屋の中に作られた、
本屋の扉の前で行われた

小さな水色の椅子に文が座る
ギターを構え大きな口を開けて息を吸い込む
一音目から悲しいくらい突き放され引きずり込まれた




本番前、
近くの蕎麦屋へ行った
文は蕎麦を啜れない
スパゲティを食べるように蕎麦を口へ運ぶ
蕎麦屋を出ると雨が上がっていた
川沿いの下町を並んで歩く
文のサンダルの音が雨上がりの路地を歩く

この日のライブのために間に合わせた本屋の床板がきれいに張られている
中神さんの息子の泰平くんが張ったらしい
親子で背中を合わせて黙々と作業したのだろうか

そのビスの穴がたくさん開いた本屋の床板の上で、
文が大きな口で歌を歌う
顔をまっすぐ前向いて
まっすぐに歌う

しんと静かに聴き入り見つめ見守る人々
そのひとりひとりの生活、心の中に文の歌はすっと入り込んだ



松井文
初めて遠征に出た場所は高山ピースランドで
そして今回、
ただ一回だけの本屋の中にできた絵本屋のライブにやってきた

そこにいた誰もが、
その潔く真っ直ぐで力強い演奏を忘れないように心に刻んだ、
そんな時間だったと思う





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