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ジャングル 2

「先生が先に行って様子をみてきます。みんなはここでいい子にして待っててね。出来る人~!」
「はーい!!」
小さな手がいくつも元気よくあがる
ようこ先生は意を決したようにザックのベルトを締めなおし、帽子をかぶりなおした
「ようこ先生、気をつけてねー!」
子どもたちは少し不安げな面持ちで見送った
「じゃあみんなはここでしゃがんで待ってましょうね」
園長先生がそう言うと子どもたちは大人しくその場にしゃがんだ
しばらく静かにしていた子どもたちだったが誰からともなくボソボソとしゃべりはじめた
「ゆきちゃんのお弁当はタコさんウィンナー入ってる?」
「はやと、帰ったらポケモンでバトルしようぜ」
「今日ね、うちにわんちゃんがくるんだよ~」
子どもたちは無邪気に思い思いの話をしている
そんな光景を見て先生たちも安心してしゃがみこんだ
ぬるい風が汗をぬぐっていく
・・・ズンッ ズンッ
ザワザワしていた子どもたちの話し声がピタッと止んだ
園長先生も額の汗をぬぐっていた手を止めて耳をすます
「なぁなぁ、たけし、なんか地面 揺れてないか?」
はやとがたけしの腕を突っつく
・・・ズンッ ズンッ ズンッ
「先生ー!」
まきが立ち上がる 今にも泣き出しそうな顔で歯を喰いしばっている
「落ち着いて!みんな立っちゃだめ!しゃがんだままよ! 地震かもしれないから、となりのお友達と手をつないで!手を離しちゃだめよ!!」
・・ズンッ ズンッ ズンッッ
今上がってきたばかりの道の下のほうの木々ががなんだか揺れている
ガサガサッ!バキバキッ!!!
何かがいる
地震ではない
何か巨大なものがこちらに向かって進んでいるのだ
子どもたちはいっせいに立ち上がり、先生の元に駆け寄った
と、突然子どもたちのすぐ脇の茂みがガサガサと大きく揺れた
Posted by 女神ちゃん at
◆2010年04月17日15:59
│スキマ
ジャングル

昼間だというのに深く茂る林の中はうす暗く、先ほどのスコールのせいか蒸し暑くジメジメしている
垂れ下がる蔦
露に濡れたシダの大きな葉
足元に絡みつく木の根
聞いたことのないような動物の鳴き声
動物がゆらすのか時々ザワザワと鳴る木々の枝
その密林の中を歩いている
20~30人が列をつくって
大人もいる
女性が3人 彼女たちは保育士である
あとは子ども
皆スモックを着ている
そう 今日は遠足
楽しい遠足
子どもたちは転ばないように、はぐれないように互いに手をつなぎ、それでも明るく歌を歌いながら足を進めていた
今回の遠足の目的地は、「お母さんの待つところ」
子どもたちはただそれしか聞かされていない
「今日はお母さんの待ってるところへ行きますよ~」
それしか聞かされていない
なぜジャングルの中を歩いているのか、そんなことは考えない
なぜか
それは子どもだからだ
子どもたちはお母さんが待ってるところに行きたいからただ歩いているのだ
「みんなたくさん歩いたからこの辺で一休みしましょうね~」
子どもたちはわらわらといくつかのグループをつくり座った
そこへ先生がおやつのビスケットをくばる
「食べながら園長先生のお話を聞いてくださいね。みんなが頑張って歩いてきたのでお母さんたちが待ってるところまであと少しになりました。そこへ着いたらお弁当にしましょうね」
おしっこをしたいと言う子どもは先生に連れられ用を足した
再び子どもたちは列をなし、言われるともなくお互い手をとりあい歩き始めた
もうすぐお弁当とお母さん
もうすぐお弁当とお母さん
どの子も先ほどまでとは目の輝きが違い足取りも軽やかに見えた
大きな曲がりくねったのぼりを回り込むとそこにコンクリートの建物が見えてきた
皆の顔に明かりがさしてきて自然に足も速くなった
Posted by 女神ちゃん at
◆2010年04月17日01:50
│スキマ