マトリョーシカちゃん
マトリョーシカちゃんのきょうだいは5人きょうだいです
上から順に、ターニャ、アリョーシャ、マーシャ、アーニャ、そしてマトリョーシカちゃんは末っ子です
一番上のターニャは、料理自慢なお姉さん
二番目のアリョーシャは、釣り自慢なお兄さん
三番目のマーシャは、刺繍自慢なお姉さん
四番目のアーニャは、かけっこ自慢なお姉さん
末っ子のマトリョーシカちゃんは・・・
得意なものがないのです 自慢するものがないのです それでいつも姉さんたちにからかわれては泣いていました
「マトリョーシカは何にもできない 何にも自慢できるものがない!」
節をつけて歌われ、今日もマトリョーシカちゃんは泣いていました
「どうして私だけ得意なものがないの? お兄さんもお姉さんもみんな自慢できるものがあるのに・・・」
ひとり泣きながら赤いレンガの通りを歩いていると、灰色猫が飛び出してきて言いました
「何を泣いてるの? 何か悲しいことでもあったのかい? それともどこか痛いところでもあるのかい?」
「ありがとう、親切な灰色猫さん。痛いところはないわ。けど悲しいの。私には自慢できるものがないの」
そう言うとマトリョーシカちゃんはまた泣いてしまいました
「なんだ そんなことか なら簡単だ きみの家の今日の昼ごはんのおかずはなんだった?」
「え?昼ごはんのおかず?えーと・・・サーモンよ サーモンのパイ それがなにか?」
「そのサーモンはどうしたんだい?誰が釣ってきたんだい?」
「アリョーシャよ アリョーシャ兄さんが釣ってきたの とっても大きくて家族みんなで食べても食べきれないくらいおおきかったのよ アリョーシャは釣りが得意なの」
「それをパイにしたのは誰なんだい?」
「ターニャ姉さんよ ターニャの作るパイは最高なの ターニャは料理が得意なのよ」
マトリョーシカは自慢げに言ってみました
「きみの兄さんと姉さんはすごいね! 自慢の姉さんと兄さんじゃないか」
「・・・けど・・・私には得意なものがないの 自慢のものがないの」
そう言うとまたマトリョーシカちゃんは泣いてしまいました
灰色猫はマトリョーシカちゃんの横を歩きながら言いました
「ねぇねぇ そんなに泣かないでおくれよ な? きみのその素敵な頭巾が涙で濡れちゃうよ?」
マトリョーシカちゃんはハッとしました 今マトリョーシカちゃんのかわいい小さな頭をくるんでいるのは マーシャが刺繍してくれた世界にたった一つしかない頭巾だったからです
「灰色猫さん、この頭巾 マーシャ姉さんが私の誕生日にプレゼントしてくれたものなのよ 手作りなの ね?素敵でしょ?」
マトリョーシカちゃんは自慢げに言いました
「いいなぁ 姉さんの手作りのプレゼントだなんて だったら世界にたった一つだろ? うらやましいよ」
なんだかますますマトリョーシカちゃんはいい気分になって自慢げな顔をして今度はスキップをはじめました
「おいおい 待っておくれよ そんなにスキップなんかして 上機嫌じゃないか」
「そうよ なんだか気分がいいの 灰色猫さん 競争しない?」
「あぁいいとも だけど俺をなめると後で泣きをみるぜ?」
「フフン 私だって負けないわ 後で泣くのは灰色猫さんよ」
マトリョーシカちゃんと灰色猫は大きな木の下に立ち止まりました
まっすぐ続く赤レンガ 遠くにまた大きな木が見えます 周りには誰もいません
「あの大きな木まで競争よ」
「位置について! よーい どん!!」
マトリョーシカちゃんは走りました
マーシャ姉さんのくれた頭巾が風を切ります
先ほどアリョーシャ兄さんの釣ったサーモンで、ターニャ姉さんが作ったパイをお腹いっぱい食べたのでどんどん力がわいてきてきます
そしてアーニャ姉さんが教えてくれたかけっこの秘密技でぐんぐん早く走れます
目の前に大きな木が見えました
「一等賞ー!! ゴール!!」
マトリョーシカちゃんは思わず自分で叫んでいました
マトリョーシカちゃんは灰色猫に勝ったのです
その後ろを灰色猫がハァハァ言いながらやっとゴールにたどり着きました
「なんだよ すごいじゃないかぁ きみがそんなに早く走れるなんて思ってもみなかったよ」
「早く走れるのはあたり前よ? だってマーシャ姉さんがくれた頭巾で、アリョーシャ兄さんの釣ったサーモンでターニャ姉さんがパイを作ってそれをお腹いっぱい食べて、それでアーニャ姉さんが早く走れる秘密を教えてくれたんだもの!」
マトリョーシカちゃんは得意げに灰色猫さんを見て言いました
「君のきょうだいたちはすごいんだね だってこんなに自慢してくれる妹がいるんだもの」
「そうよ みんな私の自慢のきょうだいなの!」
辺りはそっと夕焼けに包まれ始めています
なんだかどこからかいい匂いがしてきます
マトリョーシカちゃんは急にお兄さんやお姉さんに会いたくなりました
「灰色猫さん、またこんどね 今度は丘の上まで競争よ」
「あぁのぞむところさ さぁもう日が暮れるよ お帰り?」
「ありがとう 灰色猫さん またね」
そう言うとマトリョーシカちゃんはスキップしながら兄さん姉さんの待つ家へ帰っていきました
素敵な刺繍の入った頭巾を小さな肩になびかせながら
上から順に、ターニャ、アリョーシャ、マーシャ、アーニャ、そしてマトリョーシカちゃんは末っ子です
一番上のターニャは、料理自慢なお姉さん
二番目のアリョーシャは、釣り自慢なお兄さん
三番目のマーシャは、刺繍自慢なお姉さん
四番目のアーニャは、かけっこ自慢なお姉さん
末っ子のマトリョーシカちゃんは・・・
得意なものがないのです 自慢するものがないのです それでいつも姉さんたちにからかわれては泣いていました
「マトリョーシカは何にもできない 何にも自慢できるものがない!」
節をつけて歌われ、今日もマトリョーシカちゃんは泣いていました
「どうして私だけ得意なものがないの? お兄さんもお姉さんもみんな自慢できるものがあるのに・・・」
ひとり泣きながら赤いレンガの通りを歩いていると、灰色猫が飛び出してきて言いました
「何を泣いてるの? 何か悲しいことでもあったのかい? それともどこか痛いところでもあるのかい?」
「ありがとう、親切な灰色猫さん。痛いところはないわ。けど悲しいの。私には自慢できるものがないの」
そう言うとマトリョーシカちゃんはまた泣いてしまいました
「なんだ そんなことか なら簡単だ きみの家の今日の昼ごはんのおかずはなんだった?」
「え?昼ごはんのおかず?えーと・・・サーモンよ サーモンのパイ それがなにか?」
「そのサーモンはどうしたんだい?誰が釣ってきたんだい?」
「アリョーシャよ アリョーシャ兄さんが釣ってきたの とっても大きくて家族みんなで食べても食べきれないくらいおおきかったのよ アリョーシャは釣りが得意なの」
「それをパイにしたのは誰なんだい?」
「ターニャ姉さんよ ターニャの作るパイは最高なの ターニャは料理が得意なのよ」
マトリョーシカは自慢げに言ってみました
「きみの兄さんと姉さんはすごいね! 自慢の姉さんと兄さんじゃないか」
「・・・けど・・・私には得意なものがないの 自慢のものがないの」
そう言うとまたマトリョーシカちゃんは泣いてしまいました
灰色猫はマトリョーシカちゃんの横を歩きながら言いました
「ねぇねぇ そんなに泣かないでおくれよ な? きみのその素敵な頭巾が涙で濡れちゃうよ?」
マトリョーシカちゃんはハッとしました 今マトリョーシカちゃんのかわいい小さな頭をくるんでいるのは マーシャが刺繍してくれた世界にたった一つしかない頭巾だったからです
「灰色猫さん、この頭巾 マーシャ姉さんが私の誕生日にプレゼントしてくれたものなのよ 手作りなの ね?素敵でしょ?」
マトリョーシカちゃんは自慢げに言いました
「いいなぁ 姉さんの手作りのプレゼントだなんて だったら世界にたった一つだろ? うらやましいよ」
なんだかますますマトリョーシカちゃんはいい気分になって自慢げな顔をして今度はスキップをはじめました
「おいおい 待っておくれよ そんなにスキップなんかして 上機嫌じゃないか」
「そうよ なんだか気分がいいの 灰色猫さん 競争しない?」
「あぁいいとも だけど俺をなめると後で泣きをみるぜ?」
「フフン 私だって負けないわ 後で泣くのは灰色猫さんよ」
マトリョーシカちゃんと灰色猫は大きな木の下に立ち止まりました
まっすぐ続く赤レンガ 遠くにまた大きな木が見えます 周りには誰もいません
「あの大きな木まで競争よ」
「位置について! よーい どん!!」
マトリョーシカちゃんは走りました
マーシャ姉さんのくれた頭巾が風を切ります
先ほどアリョーシャ兄さんの釣ったサーモンで、ターニャ姉さんが作ったパイをお腹いっぱい食べたのでどんどん力がわいてきてきます
そしてアーニャ姉さんが教えてくれたかけっこの秘密技でぐんぐん早く走れます
目の前に大きな木が見えました
「一等賞ー!! ゴール!!」
マトリョーシカちゃんは思わず自分で叫んでいました
マトリョーシカちゃんは灰色猫に勝ったのです
その後ろを灰色猫がハァハァ言いながらやっとゴールにたどり着きました
「なんだよ すごいじゃないかぁ きみがそんなに早く走れるなんて思ってもみなかったよ」
「早く走れるのはあたり前よ? だってマーシャ姉さんがくれた頭巾で、アリョーシャ兄さんの釣ったサーモンでターニャ姉さんがパイを作ってそれをお腹いっぱい食べて、それでアーニャ姉さんが早く走れる秘密を教えてくれたんだもの!」
マトリョーシカちゃんは得意げに灰色猫さんを見て言いました
「君のきょうだいたちはすごいんだね だってこんなに自慢してくれる妹がいるんだもの」
「そうよ みんな私の自慢のきょうだいなの!」
辺りはそっと夕焼けに包まれ始めています
なんだかどこからかいい匂いがしてきます
マトリョーシカちゃんは急にお兄さんやお姉さんに会いたくなりました
「灰色猫さん、またこんどね 今度は丘の上まで競争よ」
「あぁのぞむところさ さぁもう日が暮れるよ お帰り?」
「ありがとう 灰色猫さん またね」
そう言うとマトリョーシカちゃんはスキップしながら兄さん姉さんの待つ家へ帰っていきました
素敵な刺繍の入った頭巾を小さな肩になびかせながら
Posted by 女神ちゃん at
◆2010年03月25日02:09
│スキマ