黄昏月
「もうちょっと」
何気なく見上げた窓ガラスの向こうに
三日月
5時26分
空は群青色のカーテンを下ろし
木々の枝が漆黒の影を落とす
やりかけの雑務を簡単に片付け、引き出しにしまう
「お先に失礼します」
更衣室の電気をつける
制服を脱いでハンガーにかける
鏡に顔色を写す
おかしなもので朝着替えるときよりうんと血色がいい
朝袖を通したシャツに再び袖をとおすとき、私の一日が終わり、はじまる
タイムカードを押して重いドアを開けると、外の空気はツンと鼻に冷たく
向かいの高校の野球児の声がバックネットのすぐそこで跳ね返り戻ってくる
西の空の雲はくじら色に
野球児のグランドは須磨の海で拾った桜貝の色に染まり
空には黄金色の三日月
自転車を押して 駐車場を抜ける
車のライトに照らされて浮かび上がる家路を急ぐ人々
一日の労働を終えて その背中に疲労と報酬を引き換えにした重荷を背負い
夢路を急ぐ
三日月が照らす 周りの空
そこだけナイフで切り抜いたように
群青色の空から漏れた明かり
その下を自転車にまたがり
指先が凍るような空気をつれて
ゆっくりゆっくり
時間の流れを慈しみ
ペダルをこぐ
ベールを脱ぐ
夜の闇に溶けていく
甘い果物のような月
何気なく見上げた窓ガラスの向こうに
三日月
5時26分
空は群青色のカーテンを下ろし
木々の枝が漆黒の影を落とす
やりかけの雑務を簡単に片付け、引き出しにしまう
「お先に失礼します」
更衣室の電気をつける
制服を脱いでハンガーにかける
鏡に顔色を写す
おかしなもので朝着替えるときよりうんと血色がいい
朝袖を通したシャツに再び袖をとおすとき、私の一日が終わり、はじまる
タイムカードを押して重いドアを開けると、外の空気はツンと鼻に冷たく
向かいの高校の野球児の声がバックネットのすぐそこで跳ね返り戻ってくる
西の空の雲はくじら色に
野球児のグランドは須磨の海で拾った桜貝の色に染まり
空には黄金色の三日月
自転車を押して 駐車場を抜ける
車のライトに照らされて浮かび上がる家路を急ぐ人々
一日の労働を終えて その背中に疲労と報酬を引き換えにした重荷を背負い
夢路を急ぐ
三日月が照らす 周りの空
そこだけナイフで切り抜いたように
群青色の空から漏れた明かり
その下を自転車にまたがり
指先が凍るような空気をつれて
ゆっくりゆっくり
時間の流れを慈しみ
ペダルをこぐ
ベールを脱ぐ
夜の闇に溶けていく
甘い果物のような月
Posted by 女神ちゃん at
◆2010年11月11日20:53
│スキマ