錯視

真夜中に
シャワーを

一枚皮の身体
ぬるいお湯が頭のてっぺんから爪先まで
爪先から床の排水溝へ

わたしの身体には入り口がいっぱいあって
出口がない

シャワーをかぶったまま目を開けてみると
格子模様の風呂場のタイルがすぐ目の前に見えた

目を細めたりおっきくしたりしたら
タイルはいつものところにあって
目の錯覚だと気づいた

ちいさいとき

グラウンドのフェンスが同じように見えて
気持ち悪くなって砂をぶつけたっけ

フェンスづたいにずっといっても立ち止まるたびおんなじで
そのたびに格子模様の間から向こう側の空が
白い入道雲を抱えているのが見えた

昼顔の蔓が絡まっているところまでいってみると
向こう側で薄桃色の昼顔が
ぬるい風に吹かれゆらゆらしていた

あのころ


目の前にあるものがすべてで
目の錯覚なんて誰がそんなでたらめ言ったんだろうって
しおれていく昼顔をみながら思った



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Posted by 女神ちゃん at ◆2011年05月14日03:23スキマ
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