トトロの風景
午後は休みだったので実家に行ってきました
車で20分
今住んでいるところも十分田舎ですが
実家は山ん中です
狸やうさぎはあたり前
鹿も猪も出ます
以前は庭で熊も目撃しました
あの時はさすがにびっくりしたな
犬かと思ったら首の下に白い三日月があるんだもの
小熊!!!
てことは近くに母熊?!!!
家に飛び込みました
そのくらい山ん中
今日は用事があって行ったんだけど
近いのに普段ぜんぜん行かない
近いから行かないのか?
まぁ事情がいろいろあるんです
朝晩はまだ寒いので、コタツがあります
ネコが丸くなっています
この子達が家に来て、もう13年くらいたちます
ネコも歳をとってあまり外に出ることはなく
家の中でごろごろしています
縁側に座って前の畑を眺めます
黄色い菖蒲が一列に並んで咲いています
トマトやナス、きゅうり、ささげなどの苗がきれいに並んで植えられています
ばあちゃんが来て一緒に座ります
じいちゃんのこと、近所の人のこと、病気のこと、畑の話をします
ほっかむりをして膝をさすりながら
畑の縁にはダリヤの芽が顔を出して、夏に咲かせる花を育んでいます
柿の木の青い葉がわさわさと繁っています
山の中から引いている清水が水屋にたまり
ちょろちょろと音をたてています
そこから流れ落ちた水が水路を流れます
すぐ前の花壇には松葉ぼたんの芽がびっしり出ています
毎年夏には赤や黄色、白、ピンクの花で埋め尽くされます
じいちゃんがゴルフクラブを杖代わりにやってきて隣に座ります
誰のことを言ってるのか
「さっき来とった男の子はどこいったんや」
と言います
じいちゃんにはばあちゃんやわたしに見えないものが見えるんかもしれません
蝶が二匹
さっきからくるくると空を戯れて飛んでいます
ばあちゃんは相変わらずじいちゃんの話をします
じいちゃんは耳も遠いので自分のことを言われているとは思いません
「ちょうちょが高いとこ飛んでいくなぁ」
じいちゃんが言います
「そやなぁ 高いとこまで飛ぶなぁ」
と答えます
二匹の白い蝶はくるくると高く高く飛んで
屋根の上まで行って見えなくなりました
「あれ 見えんようなったわ」
じいちゃんが言います
また3人で向かいの山の方を眺めます
カラスがからから鳴いて電柱に止まります
田んぼには水が張られ苗がつんつんと並んで植えられてるのが見えます
カエルがケコケコ鳴いています
空では鳶がカラスに追いかけられています
山は青く近く川が麓に流れています
向かいのおばちゃんとおじちゃんがさっきからせっせとほうれん草を出荷しています
その軽トラックと川向かいの畑に通う農作業の車以外、裏の道は車は走りません
「たけのこ生えとるかな」
わたしが言うと
「今年は雨があんまり降らんでどうやろ」
とばあちゃんが言います
あじかを下げて釜を持ってばあちゃんの長ぐつを借りて向かいの竹やぶに向います
まだ幼い苗がきれいに並んで植えられている田んぼのあぜ道を歩きます
小さな苗はどれもしっかり上を向き根を下ろしています
草の間、竹枯れの間から茶色いたけのこが何本も顔を出しています
なるべく大きくなりすぎていない柔らかそうなのを選んで釜で切り取り
腰にむすんだあじかに入れます
足元の草の間には蛇イチゴがたくさんたくさん赤い実をつけて
歩くたびにぽろぽろとその実を落とします
蔵の前ではネコが三匹昼寝をしています
捨てネコだったのが居ついてしまったようで、わたしが近寄っても逃げません
たけのこの皮を剥いていると向かいのおばちゃんが
「持っていくか?」
とほうれん草をたくさん持ってきてくれました
規格外だそうですがどれも柔らかくておいしそうです
縁側ではじいちゃんがネコを抱っこして背中を撫でています
ばあちゃんはきぬさやの筋を取っています
じいちゃんの手は爪の間が茶色く、土や泥がこびりついています
手の甲の血管は浮き上がって、皺だらけの茶色く日焼けした手はその節々をこぶにして
長い年月たくさんたくさん働いてきたことを証明しています
そのぶあつい手で同じく年老いたネコを大事に大事に撫でています
カエルが鳴いて、水屋の水はとうとうと注がれます
風が山を撫でていきます
たくさんの野菜と花とたけのこをもらって車にやってくると
父が米を車に積んでくれていました
じいちゃんが
「俺みたいな年寄りはいつ死んでもいいけど、お前たち若いもんは気をつけてやるんやぞ」
と言います
「車に乗るときは気をつけるんやぞ」
と言います
「また寄ってくれよ」
と言います
じいちゃんとばあちゃんが家の前で手を振ってくれます
小さくなったじいちゃんとばあちゃんに手を振ってバイバイです
茶色い捨てネコが一匹
道路の脇を歩きながら車に乗ったわたしを見ていました
山を越えるわたしの車の中は採れたてのたけのこの匂いでいっぱいです
車で20分
今住んでいるところも十分田舎ですが
実家は山ん中です
狸やうさぎはあたり前
鹿も猪も出ます
以前は庭で熊も目撃しました
あの時はさすがにびっくりしたな
犬かと思ったら首の下に白い三日月があるんだもの
小熊!!!
てことは近くに母熊?!!!
家に飛び込みました
そのくらい山ん中
今日は用事があって行ったんだけど
近いのに普段ぜんぜん行かない
近いから行かないのか?
まぁ事情がいろいろあるんです
朝晩はまだ寒いので、コタツがあります
ネコが丸くなっています
この子達が家に来て、もう13年くらいたちます
ネコも歳をとってあまり外に出ることはなく
家の中でごろごろしています
縁側に座って前の畑を眺めます
黄色い菖蒲が一列に並んで咲いています
トマトやナス、きゅうり、ささげなどの苗がきれいに並んで植えられています
ばあちゃんが来て一緒に座ります
じいちゃんのこと、近所の人のこと、病気のこと、畑の話をします
ほっかむりをして膝をさすりながら
畑の縁にはダリヤの芽が顔を出して、夏に咲かせる花を育んでいます
柿の木の青い葉がわさわさと繁っています
山の中から引いている清水が水屋にたまり
ちょろちょろと音をたてています
そこから流れ落ちた水が水路を流れます
すぐ前の花壇には松葉ぼたんの芽がびっしり出ています
毎年夏には赤や黄色、白、ピンクの花で埋め尽くされます
じいちゃんがゴルフクラブを杖代わりにやってきて隣に座ります
誰のことを言ってるのか
「さっき来とった男の子はどこいったんや」
と言います
じいちゃんにはばあちゃんやわたしに見えないものが見えるんかもしれません
蝶が二匹
さっきからくるくると空を戯れて飛んでいます
ばあちゃんは相変わらずじいちゃんの話をします
じいちゃんは耳も遠いので自分のことを言われているとは思いません
「ちょうちょが高いとこ飛んでいくなぁ」
じいちゃんが言います
「そやなぁ 高いとこまで飛ぶなぁ」
と答えます
二匹の白い蝶はくるくると高く高く飛んで
屋根の上まで行って見えなくなりました
「あれ 見えんようなったわ」
じいちゃんが言います
また3人で向かいの山の方を眺めます
カラスがからから鳴いて電柱に止まります
田んぼには水が張られ苗がつんつんと並んで植えられてるのが見えます
カエルがケコケコ鳴いています
空では鳶がカラスに追いかけられています
山は青く近く川が麓に流れています
向かいのおばちゃんとおじちゃんがさっきからせっせとほうれん草を出荷しています
その軽トラックと川向かいの畑に通う農作業の車以外、裏の道は車は走りません
「たけのこ生えとるかな」
わたしが言うと
「今年は雨があんまり降らんでどうやろ」
とばあちゃんが言います
あじかを下げて釜を持ってばあちゃんの長ぐつを借りて向かいの竹やぶに向います
まだ幼い苗がきれいに並んで植えられている田んぼのあぜ道を歩きます
小さな苗はどれもしっかり上を向き根を下ろしています
草の間、竹枯れの間から茶色いたけのこが何本も顔を出しています
なるべく大きくなりすぎていない柔らかそうなのを選んで釜で切り取り
腰にむすんだあじかに入れます
足元の草の間には蛇イチゴがたくさんたくさん赤い実をつけて
歩くたびにぽろぽろとその実を落とします
蔵の前ではネコが三匹昼寝をしています
捨てネコだったのが居ついてしまったようで、わたしが近寄っても逃げません
たけのこの皮を剥いていると向かいのおばちゃんが
「持っていくか?」
とほうれん草をたくさん持ってきてくれました
規格外だそうですがどれも柔らかくておいしそうです
縁側ではじいちゃんがネコを抱っこして背中を撫でています
ばあちゃんはきぬさやの筋を取っています
じいちゃんの手は爪の間が茶色く、土や泥がこびりついています
手の甲の血管は浮き上がって、皺だらけの茶色く日焼けした手はその節々をこぶにして
長い年月たくさんたくさん働いてきたことを証明しています
そのぶあつい手で同じく年老いたネコを大事に大事に撫でています
カエルが鳴いて、水屋の水はとうとうと注がれます
風が山を撫でていきます
たくさんの野菜と花とたけのこをもらって車にやってくると
父が米を車に積んでくれていました
じいちゃんが
「俺みたいな年寄りはいつ死んでもいいけど、お前たち若いもんは気をつけてやるんやぞ」
と言います
「車に乗るときは気をつけるんやぞ」
と言います
「また寄ってくれよ」
と言います
じいちゃんとばあちゃんが家の前で手を振ってくれます
小さくなったじいちゃんとばあちゃんに手を振ってバイバイです
茶色い捨てネコが一匹
道路の脇を歩きながら車に乗ったわたしを見ていました
山を越えるわたしの車の中は採れたてのたけのこの匂いでいっぱいです
Posted by 女神ちゃん at
◆2011年06月15日22:58
│スキマ