落とし穴 3 完

何時間が経過しただろう

「これ食うか?」

と蓋付の丼が差し出された

テレビドラマで取調室で容疑者が食べるやつや

蓋を開けたらやっぱりカツ丼だった

「いただきます」

と割り箸を割ってご飯に手をつける
カツは意外に分厚かった

ご飯出るって事はまだ帰れんのか・・・
母はどうしてるだろう
娘は泣いてないだろうか
甥っ子は義妹と一緒だろうか・・・


お腹は空いているはずなのに食べる気は起きなかった

「あのぅ、まだ帰れませんかねぇ。母やみんなはどうしてるんですかね」

「同じように別室でお話伺っております」

「お話伺っておりますって、わたしにはもうなんにも聞いてこないじゃないですか。もう用は済んだんでしょ。帰してください」

「それはできなんですよ」


時計もなく、窓がない部屋なので夜になってるはずだがまったく時間がわからなくなっている
そのまま刑事が2人残り、また沈黙で時間が流れた



コンコン

ノックの音にはっとしていると
刑事が入ってきて耳打ちしている

「お子さんやお母さんをお連れしたのでお願いします」

米兵二人に挟まれ、母が娘や叔母に支えられて入ってきた

「お母さん!」

母は立つのもやっとなくらい疲れた様子で、足を痛そうに引きずっていた

「だいじょうぶ?!」

顔からは血の気が失せ、わたしの腕に倒れこんできた
すぐさま横にならせて脈を診た

「お母さん!わかる?」

ゆっくりと目を開け、うっすらと笑った

よかった

とたんに怒りが湧いた

「病人をこんなになるまで監禁しておいたんですか!」

「すいません、ご病気だなんて知りませんでしたので」

「ずっと言ってたじゃないですか、それに見ていればわかるでしょう!もう帰らせてもらいます。弟もここに連れてきてください」

「弟さんは何かを見てるのでもうちょっとお話を伺わなければなりません。それまでみなさんもここで待機していただきます」

「待機??監禁じゃないですか。いい加減にしてください」

訴えますよ
と言おうとして詰まった

どこに?誰に??

圧倒的国家権力を振りかざし
市民を重圧する警察
それには理由なんていらない
上がイエスと言えばイエスの世界
そこには人間が人間を思いやるなんていう感情は微塵のかけらもなく
ただ機械のように作業をこなす国家のロボットたちがいた


米兵が刑事になにか耳打ちし部屋から出て行った


傷害や窃盗といった巷にありふれた刑事事件ではない
国、国家絡みのなにかもっと大きな事に巻き込まれてしまった

背筋につーっと冷たいものが伝うような感触を覚えた






といったとこで目が覚めました
あー不愉快な夢やった
目覚め最高に悪い





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Posted by 女神ちゃん at ◆2012年08月08日20:16スキマ
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