スキマ

Hの向かいのYちゃんがやってる古着屋へ入ったらいきなり

「もうちょっとで閉めるよ」

と言われた
Yちゃんなんだか今日はいつもの倍キレイ

「痩せた？」

と聞くと

「今日は化粧してるからじゃない？」

と言った
ふだんはすっぴんらしい
うそでしょう？
ほんとにキレイなひとやな
と思った


「今日はお客さんTちゃん（わたし）で二人目。一人目はHのマスター。
今日はお客さん来んし閉める」
　
わたしは客じゃないのか

100円のワゴンからロングジョーンズのアンダーウェアを発見　
そいつを購入した　
客じゃないからか、100円だからなのか　
Yちゃんはたたんでくれもせず、袋にも入れようとせず

「今閉めるからそこまで乗せてって」

と言い店の照明をぱちぱちと消した
暗くなった店内へ外から月明かりが射し込んだ
外へ出たら空気が凍ったみたいに軽くなっていた
月がぽかっと出ていた

Yちゃんはさっさと乗り込んできて、りんごと黒糖まんじゅうの入った袋を渡してくれた
商店街の交差点で停まるとYちゃんは

「今日はパーティーなの」

と言って少し膨らんだ月の下を
スカートふりふりさせながら消えていった

Yちゃんがくれた黒糖まんじゅうは半分に割って娘と食べた　
あんまりもちもちでおいしかったので
まんじゅうを二度見してしまった


半分に割ったまんじゅうは
ちょうど今日の月みたいやな
と思いながらよく味わって食べた