じいちゃん
じいちゃんが死んだ
妻と娘に手を握られ
孫のわたしに足をさすられ
自宅の居間の畳の上で
最後の息を吐ききって向こうへ逝った
行年96歳
そういえば
このブログにじいちゃんのこと書いたなぁ
と
読み返して
思ったよりじいちゃんのこと書いていて
それがやたらにリアルで
じいちゃん
じいちゃんの怒ったところをわたしは見たことがない
まだ若い頃
些細なことで父と喧嘩になり
父に向かって拳を振り上げたわたしを嗜めたのはばあちゃんで
じいちゃんはその後ろでなんともいえない寂しい顔をして立っていた
じいちゃんのその顔をみて我に返ったわたしは家を飛び出して
闇雲に車を走らせ
泣いて泣きつかれ途方にくれ
どこかのスーパーの駐車場にたどり着き
泣きじゃっくりのとまらないさっきからの自分と
なんでこんなとこにおるんやろ
さてどうやって帰ろうか
という冷静な自分の狭間で半ば放心し
車の窓を開けて夜風を浴びながら途方にくれていた
仕事から帰ったばかりのよく事情を知らない母からの
「帰っておいでよ」
という電話で救われ
バツ悪く帰宅したわたしに
父は後ろ向きで胡坐をかいたまま
「さっきはすまんかった」
と謝った
「じいちゃんとばあちゃんの大事な子どもに手を上げようとしてごめんなさい」
と謝ると
ばあちゃんは
「よく帰ってきてくれた」
と泣いて手をさすってくれた
その後ろの方でじいちゃんはさみしいようなうれしいような
なんともいえない安堵のような表情で
何もかも許してくれるような顔をして頷いていた
じいちゃん
寡黙で
働き者で
真面目で
猫や犬や動物がだいすきだったじいちゃん
そういえば小学生のとき
わたしが拾ってきた捨て猫
飼いたいと言って父と母に反対され
捨ててきなさいと叱られ
猫を抱いて途方にくれて泣いていたわたしに手招きをし
こっそり台所から持ってきた煮干を
自分の作業小屋で食べさせてくれた
皺のついた大きな手で
おいしそうにがっつく子猫の背を撫でながら
「また煮干持ってきてやるでな」
と目を細めていたじいちゃん
穏やかで
ほんとによく働いて
いつも家族のことを見守っていてくれたじいちゃん
呆けてしまってからもわたしが実家にいくといつも
「気をつけて帰るんやぞ、車の運転は気をつけるんやぞ。また来てくれよな」
と皺だらけにして笑って言ってくれた
かわいいじいちゃん
日に焼けた皺だらけの大きいじいちゃんの手
節くれだった指
爪の間にいっぱい土や泥をつめて
鉈や鋸を握り
家族のため一生懸命働いてきたじいちゃんの手
じいちゃんの手がだいすきだった
その両の手を合わせて
明日
じいちゃんは棺に入る
妻と娘に手を握られ
孫のわたしに足をさすられ
自宅の居間の畳の上で
最後の息を吐ききって向こうへ逝った
行年96歳
そういえば
このブログにじいちゃんのこと書いたなぁ
と
読み返して
思ったよりじいちゃんのこと書いていて
それがやたらにリアルで
じいちゃん
じいちゃんの怒ったところをわたしは見たことがない
まだ若い頃
些細なことで父と喧嘩になり
父に向かって拳を振り上げたわたしを嗜めたのはばあちゃんで
じいちゃんはその後ろでなんともいえない寂しい顔をして立っていた
じいちゃんのその顔をみて我に返ったわたしは家を飛び出して
闇雲に車を走らせ
泣いて泣きつかれ途方にくれ
どこかのスーパーの駐車場にたどり着き
泣きじゃっくりのとまらないさっきからの自分と
なんでこんなとこにおるんやろ
さてどうやって帰ろうか
という冷静な自分の狭間で半ば放心し
車の窓を開けて夜風を浴びながら途方にくれていた
仕事から帰ったばかりのよく事情を知らない母からの
「帰っておいでよ」
という電話で救われ
バツ悪く帰宅したわたしに
父は後ろ向きで胡坐をかいたまま
「さっきはすまんかった」
と謝った
「じいちゃんとばあちゃんの大事な子どもに手を上げようとしてごめんなさい」
と謝ると
ばあちゃんは
「よく帰ってきてくれた」
と泣いて手をさすってくれた
その後ろの方でじいちゃんはさみしいようなうれしいような
なんともいえない安堵のような表情で
何もかも許してくれるような顔をして頷いていた
じいちゃん
寡黙で
働き者で
真面目で
猫や犬や動物がだいすきだったじいちゃん
そういえば小学生のとき
わたしが拾ってきた捨て猫
飼いたいと言って父と母に反対され
捨ててきなさいと叱られ
猫を抱いて途方にくれて泣いていたわたしに手招きをし
こっそり台所から持ってきた煮干を
自分の作業小屋で食べさせてくれた
皺のついた大きな手で
おいしそうにがっつく子猫の背を撫でながら
「また煮干持ってきてやるでな」
と目を細めていたじいちゃん
穏やかで
ほんとによく働いて
いつも家族のことを見守っていてくれたじいちゃん
呆けてしまってからもわたしが実家にいくといつも
「気をつけて帰るんやぞ、車の運転は気をつけるんやぞ。また来てくれよな」
と皺だらけにして笑って言ってくれた
かわいいじいちゃん
日に焼けた皺だらけの大きいじいちゃんの手
節くれだった指
爪の間にいっぱい土や泥をつめて
鉈や鋸を握り
家族のため一生懸命働いてきたじいちゃんの手
じいちゃんの手がだいすきだった
その両の手を合わせて
明日
じいちゃんは棺に入る
Posted by 女神ちゃん at
◆2014年01月28日02:33
│スキマ