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少年の朝、旅の途中

ホウホウ ホホウホウ

ホウホウ ホホウホウ



少年は木のうろに身を折り曲げて
夜露をしのいでいた

どこかで何かが鳴いている

深い黒い緑の影がもこもこと空を覆い
隙間から群青色の空が見える

その隙間からは星がこぼれてきそうに瞬いていた


雲がない夜は気温が下がりとても寒い
少年はマントをすっぽり被りその上に落ち葉を被せて眠った


ホウホウ  ホホウホウ


鳴き声が深く森に響いて
少年の眠る木のすぐ近くで森も眠った

深い深い森の深い深い眠り

星は流れ空は動き
夜の闇はやがて深い霧を連れてくる


ホウホウ ホホウホウ


森の夜警を残して森は眠る眠る眠る


うろの中に抱かれ少年も眠る眠る眠る

寝息が少年のマントの襟元を湿らす

森の寝息が枯れた落ち葉を濡らす



森が薄蒼い霧に包まれ
枯葉が湿って重くなった頃
ゆっくり森が起きる

少年はうろの中で体を起こす
枯葉がマントから落ちる
マントが体から下がる
流線が直線になる



少年の赤い髪に少年の知らない記憶が宿る
少年の短い爪に少年の知らない記憶が宿る


ずっとずっと昔
少年のひいおじいさんのひいおじいさん
そのまたひいおじいさんの記憶


少年はうろからいったん出ると
うろの中の小さな包みを取り出した
少年の温かみでその小さな包みはうっすらと湯気が上がってるようだった

少年は包みの紐をていねいに解くと
小指の先ほどの赤い実3つと
白く練った粉を固めて焼いたようなものを取り出した

焼き固めたものをほおばり、口の中でしばらく溶かし噛む
噛んでいると甘くなってくる
赤い木の実をほおばる
しばらくほおばっているとやわらかくなり甘い香りが口中に広がる


チルチル  チルチル



陽が射して霧が上がり夜露に濡れた落ち葉が敷きつめられた森の道をつくる


少年はゆっくりと赤い木の実を存分に味わい
森の静けさの朝にいる






  

Posted by 女神ちゃん at ◆2011年04月10日01:28スキマ