酸素ボンベの瀬上さん 4 最終話
公園の木の葉が全部落ちてしまって瀬上さんの入院も数ヶ月を過ぎ、ぼちぼち退院かなぁと思っていた頃
瀬上さんが熱を出しました
気管を切開されているのでどうしても感染をおこしやすく、すぐ熱を出します
これの繰り返しです
今回もそんな感じでまたすぐ落ち着くだろうとみんな思ってました
でも熱はなかなかひかず、ついに肺炎を起こしてしまいました
痰の量が増えます
「吸引してくれんか」
今は自分で痰を取る力がないのはわかっていても、憎まれ口たたく瀬上さんのほうがなんていうのかファイトがあります かかってこいです
瀬上さんは個室に移りました
奥さんが毎日通います
看護婦にも無駄なことは喋らず帰られるときも黙って帰られるか、ただ頭を下げてそっと帰られます
瀬上さんの容態はいっこうに良くならず、瀬上さんに呼吸器が装着されました
といっても今までも何度もそういう危ない橋を渡ってきた瀬上さんなので、今回も一時しのぎだろうと思っていました
呼吸器と自発呼吸が同調しなく、しんどそうな瀬上さん
酸素の換気も悪化の一方
なんとなく悪い方向に考えてしまう自分
いやいや、瀬上さんはそんな人じゃない
簡単には逝かんやろ だってあの瀬上さんやもん 不死鳥瀬上さんやもんな
かかってこい瀬上さん Fight!
その日、私は深夜勤をひかえてました
日勤の深夜入り
日中勤務して、夕方帰り再び深夜から勤務する形態をいいます
日勤帯から瀬上さんの容態は不安定でした
帰宅した私は深夜に備えてささっと夕食をすませ、シャワーを浴び仮眠します
布団に横になるとすぐ眠りにおちました
不思議なもんで、すぐ寝れる日と、まったく寝付けない日があります
この日はかんたんにすとんと眠りに落ちました
ふと 目を覚ましました
誰かがいます
「ん?」
「瀬上さん」
瀬上さんが酸素ボンベ押して立っていました
「どうしたんですか??」
「たんぽぽちゃん、看護婦やめちゃいかんよ。お父さんお母さんを大事にするんだよ」
そういって瀬上さんは今までに見たことない優しい笑顔で振り返って帰っていきました
「・・・瀬上さん?」
枕元の目覚まし時計をみたら夜の11時23分でした
(あぁ、ちょっと早いけど病院行こうっと)
(夢?? いやいや、おったよな うち来たよな 瀬上さん 足あったよな)
なんて頸かしげながら、自転車こいでいつもよりかなり早い目に出勤しました
「おはようございます」
病棟へ入っていくと北さんがいました
北さんは瀬上さんの主治医です
「たんぽぽちゃん(深夜)入り? 早いな、今日は」
当直の婦長もいます
「瀬上さんは?」
「ちょっと前、23時23分だったよ」
北さんが答えました
瀬上さん・・・
呆然としていると瀬上さんの奥さんがやってきました
「皆さんには本当にお世話になりました」
毅然と取り乱すことなく挨拶されます
「看護婦さん、ちょっと」
わたし??
奥さんが手招きします
「奥さん、なんていったらいいのか・・・その・・・」
「たんぽぽさんていう看護婦さんはあなたよね?」
「? はい、そうですけど・・」
「主人がいつも言ってました。あの子はいい看護婦になるぞ。あいつは何を言ってもめげん。あの子はいい看護婦になるぞ、って。うちの主人、あんなですからさぞかしあなたにも意地悪したんじゃないかと思って。ほんとにごめんなさいね」
「・・・奥さん、すみません。わたし・・・」
「いいんですよ。あんな言い方しか出来ない主人をゆるしてね」
そのあとは泣き崩れてしまってどっちが遺族だかわかりませんでした
瀬上さんは、とっても不器用な方だったんだなぁて思います
そういうわたしも
でも今でもあのとき枕元に立った瀬上さんのあのさいこーに優しい顔は忘れません
瀬上さん、ありがとう
わたしは今でも看護婦、やっています
おわり
瀬上さんが熱を出しました
気管を切開されているのでどうしても感染をおこしやすく、すぐ熱を出します
これの繰り返しです
今回もそんな感じでまたすぐ落ち着くだろうとみんな思ってました
でも熱はなかなかひかず、ついに肺炎を起こしてしまいました
痰の量が増えます
「吸引してくれんか」
今は自分で痰を取る力がないのはわかっていても、憎まれ口たたく瀬上さんのほうがなんていうのかファイトがあります かかってこいです
瀬上さんは個室に移りました
奥さんが毎日通います
看護婦にも無駄なことは喋らず帰られるときも黙って帰られるか、ただ頭を下げてそっと帰られます
瀬上さんの容態はいっこうに良くならず、瀬上さんに呼吸器が装着されました
といっても今までも何度もそういう危ない橋を渡ってきた瀬上さんなので、今回も一時しのぎだろうと思っていました
呼吸器と自発呼吸が同調しなく、しんどそうな瀬上さん
酸素の換気も悪化の一方
なんとなく悪い方向に考えてしまう自分
いやいや、瀬上さんはそんな人じゃない
簡単には逝かんやろ だってあの瀬上さんやもん 不死鳥瀬上さんやもんな
かかってこい瀬上さん Fight!
その日、私は深夜勤をひかえてました
日勤の深夜入り
日中勤務して、夕方帰り再び深夜から勤務する形態をいいます
日勤帯から瀬上さんの容態は不安定でした
帰宅した私は深夜に備えてささっと夕食をすませ、シャワーを浴び仮眠します
布団に横になるとすぐ眠りにおちました
不思議なもんで、すぐ寝れる日と、まったく寝付けない日があります
この日はかんたんにすとんと眠りに落ちました
ふと 目を覚ましました
誰かがいます
「ん?」
「瀬上さん」
瀬上さんが酸素ボンベ押して立っていました
「どうしたんですか??」
「たんぽぽちゃん、看護婦やめちゃいかんよ。お父さんお母さんを大事にするんだよ」
そういって瀬上さんは今までに見たことない優しい笑顔で振り返って帰っていきました
「・・・瀬上さん?」
枕元の目覚まし時計をみたら夜の11時23分でした
(あぁ、ちょっと早いけど病院行こうっと)
(夢?? いやいや、おったよな うち来たよな 瀬上さん 足あったよな)
なんて頸かしげながら、自転車こいでいつもよりかなり早い目に出勤しました
「おはようございます」
病棟へ入っていくと北さんがいました
北さんは瀬上さんの主治医です
「たんぽぽちゃん(深夜)入り? 早いな、今日は」
当直の婦長もいます
「瀬上さんは?」
「ちょっと前、23時23分だったよ」
北さんが答えました
瀬上さん・・・
呆然としていると瀬上さんの奥さんがやってきました
「皆さんには本当にお世話になりました」
毅然と取り乱すことなく挨拶されます
「看護婦さん、ちょっと」
わたし??
奥さんが手招きします
「奥さん、なんていったらいいのか・・・その・・・」
「たんぽぽさんていう看護婦さんはあなたよね?」
「? はい、そうですけど・・」
「主人がいつも言ってました。あの子はいい看護婦になるぞ。あいつは何を言ってもめげん。あの子はいい看護婦になるぞ、って。うちの主人、あんなですからさぞかしあなたにも意地悪したんじゃないかと思って。ほんとにごめんなさいね」
「・・・奥さん、すみません。わたし・・・」
「いいんですよ。あんな言い方しか出来ない主人をゆるしてね」
そのあとは泣き崩れてしまってどっちが遺族だかわかりませんでした
瀬上さんは、とっても不器用な方だったんだなぁて思います
そういうわたしも
でも今でもあのとき枕元に立った瀬上さんのあのさいこーに優しい顔は忘れません
瀬上さん、ありがとう
わたしは今でも看護婦、やっています
おわり
Posted by 女神ちゃん at
◆2011年03月22日13:47
│看護婦シリーズ
この記事へのコメント
4話まで読んでしまいました
そうかぁ
枕元に現れるお人は身内だけじゃないのか...
いや、そういう感想じゃないんだが
看護婦さんでいてよかった
そうかぁ
枕元に現れるお人は身内だけじゃないのか...
いや、そういう感想じゃないんだが
看護婦さんでいてよかった
Posted by ケンスコ
at 2011年03月22日 16:21

ケさま
ありがとう
仕事、いろいろしてきましたが どういうわけか看護婦の仕事にもどってしまいます よいのか悪いのか・・・
けどこの仕事、おもしろいことだけは確かです
ありがとう
仕事、いろいろしてきましたが どういうわけか看護婦の仕事にもどってしまいます よいのか悪いのか・・・
けどこの仕事、おもしろいことだけは確かです
Posted by 女神ちゃん
at 2011年03月22日 19:51

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