木こりのおじいさん 2
この日は大工の山本さん(仮)が予断をゆるさない状況で(シリーズの一番初めに書いてます)
患者さんの寝静まった病棟には緊張感が漂ってました
山本さんの病室から出ると
緑の非常灯のあかりの下に小さな何かがうずくまっています
びくっとしてよく見てみると上田さんです
木こりさんはどうやら焼き物市へ行きたかったようですが
夜も遅いので泊まっていきんさいよ
と言ったらすんなりこちらの好意(?)に甘えてくれました
車椅子に乗せて病室へ行く途中、なんか足りない
と感じたのですがとりあえずベットサイドまで行きました
で、気づきました
上田さん、今度はおしっこのカテーテルも自己抜去してました
床には抜かれたカテーテルと尿を貯めるバッグがべちゃ
と置かれていました
(上田さん・・・痛くなかったの?? ?)
カテーテルは何かに引っ掛ったりして抜けたりしないよう膀胱の中でバルーンを膨らませて
留置するようになっていて
無理に引っ張って抜けばそのまま尿管をバルーンが膨らんだまま通るので相当な痛みが伴うと思うんです
なんだか妙にすっきりした顔の上田さんをベットに寝かせ
おむつを確認して相手チームのナースへ報告し山本さんへ向かいました
そしてこの日は山本さんが亡くなり、わたしがひとり霊安室でドタバタしてる間にも
何もかもとっぱらってしまってすっきりしてしまった上田さんに
相手チームの看護婦はさらにばたばさせられて深夜勤は終わりました
その翌日から上田さん、点滴中に点滴の管自己抜去
酸素のカテーテルはつけてもつけても外してしまい
しまいにナースコールも壁から抜去
鳴りっぱなし
管という管はぜーんぶ抜去
寝巻きの紐は取ろうと思っても取れなかったのか
布団カバーの紐と結びつけてました
というか紐は紐どうし
上田さんなりになにかルールがあるようです
上田さんの担当は主任ナースでした
わたしの勤めてた病院は婦長も婦長とは呼ばないので
主任のことももちろん名前で呼びます
平田さん(仮)というんだけど、たまに下の名でみっちゃんと呼んでました
みっちゃんはばりばりに仕事が出来て
すごい美人なのにぜんぜん鼻にかけなくて
それどころか大口開けてガハハと笑うような豪快な看護婦さんで
わたしの憧れの大先輩でした
色白で髪はショートボブで肩の上のとこでくるんとカールしてて
いつも薄い唇に真っ赤な口紅を引いてまるで快活な白雪姫のような人でした
普通主任クラスのナースはほとんど担当は持たないし、ついても重い患者さんは担当しないのですが、
入院当初そんなに手のかからないはずの上田さんは今では病棟一の人気ものになっていました
管という管をとっぱらう快感を覚えた上田さんは
それから点滴を自己抜去するたびにみっちゃんに睨まれることになりました
病室で点滴すると抜いてしまうので車椅子に乗ってナースステーションで点滴です
ご飯も一人で病室でだとご飯で遊んでしまうので、これまた車椅子に乗ってナースステーションです
上田さん大人用の車椅子だと大きすぎてするすると抜け落ちてしまうので(抜け出してしまう)
小児科病棟から子供用の車椅子を借りてきてそこにちょこんです
赤い帽子の似合いそうな小人さんはいっつも目を閉じて指先だけ寝巻きの紐をかまったりしてて、
たまに小さな目を開いて隣で繕いものを(じゃなく仕事を)する白雪姫みっちゃんを見てはうっとりして(?)ふぅと小さくため息をつきまた目を閉じます
そんなディズニー映画のような光景をみてるとなんだかみっちゃんがとっても羨ましくなり
わたしも小人さんに見つめられてため息つかれたい!
などと妄想にとりつかれ
うちのチームにもボケたかわいいじいさん入院してこんかなぁ
などと願ったりして同期のKちゃんにアホかとあきられたりしました
そんな上田さんも徐々に病気は悪化し、しまいには自分でベットを降りる力もなくなり
点滴をされてもされっぱなし
おしっこの管も抜く元気もなく
白雪姫とその仲間に看取られながら亡くなりました
小人さん
小人の木こりさん
ほんとの白雪姫には会えましたか?
「・・・」
「上田さん、何をしたの?」
腰に手を当ててみっちゃんが言います
「言うに言われぬ悪いことをした」
白雪姫に言われるたびに布団にもぐったまま
小人の木こりさんはそう言ってニヤリと笑うのでした
おわり
患者さんの寝静まった病棟には緊張感が漂ってました
山本さんの病室から出ると
緑の非常灯のあかりの下に小さな何かがうずくまっています
びくっとしてよく見てみると上田さんです
木こりさんはどうやら焼き物市へ行きたかったようですが
夜も遅いので泊まっていきんさいよ
と言ったらすんなりこちらの好意(?)に甘えてくれました
車椅子に乗せて病室へ行く途中、なんか足りない
と感じたのですがとりあえずベットサイドまで行きました
で、気づきました
上田さん、今度はおしっこのカテーテルも自己抜去してました
床には抜かれたカテーテルと尿を貯めるバッグがべちゃ
と置かれていました
(上田さん・・・痛くなかったの?? ?)
カテーテルは何かに引っ掛ったりして抜けたりしないよう膀胱の中でバルーンを膨らませて
留置するようになっていて
無理に引っ張って抜けばそのまま尿管をバルーンが膨らんだまま通るので相当な痛みが伴うと思うんです
なんだか妙にすっきりした顔の上田さんをベットに寝かせ
おむつを確認して相手チームのナースへ報告し山本さんへ向かいました
そしてこの日は山本さんが亡くなり、わたしがひとり霊安室でドタバタしてる間にも
何もかもとっぱらってしまってすっきりしてしまった上田さんに
相手チームの看護婦はさらにばたばさせられて深夜勤は終わりました
その翌日から上田さん、点滴中に点滴の管自己抜去
酸素のカテーテルはつけてもつけても外してしまい
しまいにナースコールも壁から抜去
鳴りっぱなし
管という管はぜーんぶ抜去
寝巻きの紐は取ろうと思っても取れなかったのか
布団カバーの紐と結びつけてました
というか紐は紐どうし
上田さんなりになにかルールがあるようです
上田さんの担当は主任ナースでした
わたしの勤めてた病院は婦長も婦長とは呼ばないので
主任のことももちろん名前で呼びます
平田さん(仮)というんだけど、たまに下の名でみっちゃんと呼んでました
みっちゃんはばりばりに仕事が出来て
すごい美人なのにぜんぜん鼻にかけなくて
それどころか大口開けてガハハと笑うような豪快な看護婦さんで
わたしの憧れの大先輩でした
色白で髪はショートボブで肩の上のとこでくるんとカールしてて
いつも薄い唇に真っ赤な口紅を引いてまるで快活な白雪姫のような人でした
普通主任クラスのナースはほとんど担当は持たないし、ついても重い患者さんは担当しないのですが、
入院当初そんなに手のかからないはずの上田さんは今では病棟一の人気ものになっていました
管という管をとっぱらう快感を覚えた上田さんは
それから点滴を自己抜去するたびにみっちゃんに睨まれることになりました
病室で点滴すると抜いてしまうので車椅子に乗ってナースステーションで点滴です
ご飯も一人で病室でだとご飯で遊んでしまうので、これまた車椅子に乗ってナースステーションです
上田さん大人用の車椅子だと大きすぎてするすると抜け落ちてしまうので(抜け出してしまう)
小児科病棟から子供用の車椅子を借りてきてそこにちょこんです
赤い帽子の似合いそうな小人さんはいっつも目を閉じて指先だけ寝巻きの紐をかまったりしてて、
たまに小さな目を開いて隣で繕いものを(じゃなく仕事を)する白雪姫みっちゃんを見てはうっとりして(?)ふぅと小さくため息をつきまた目を閉じます
そんなディズニー映画のような光景をみてるとなんだかみっちゃんがとっても羨ましくなり
わたしも小人さんに見つめられてため息つかれたい!
などと妄想にとりつかれ
うちのチームにもボケたかわいいじいさん入院してこんかなぁ
などと願ったりして同期のKちゃんにアホかとあきられたりしました
そんな上田さんも徐々に病気は悪化し、しまいには自分でベットを降りる力もなくなり
点滴をされてもされっぱなし
おしっこの管も抜く元気もなく
白雪姫とその仲間に看取られながら亡くなりました
小人さん
小人の木こりさん
ほんとの白雪姫には会えましたか?
「・・・」
「上田さん、何をしたの?」
腰に手を当ててみっちゃんが言います
「言うに言われぬ悪いことをした」
白雪姫に言われるたびに布団にもぐったまま
小人の木こりさんはそう言ってニヤリと笑うのでした
おわり
Posted by 女神ちゃん at
◆2012年01月28日18:43
│看護婦シリーズ