バトル 3

「たんぽぽちゃん、ちょっと来て」

ゆりちゃんに呼ばれます

「だいじょうぶ?あなた。」

「正直もうわかりません。脇田さん、わたしを気に入らないんです。いじめて楽しんでるんです。限界です。わたしを脇田さんの担当からはずしてください」

ゆりちゃんは困ったな、という顔をして言いました


「たんぽぽちゃん、脇田さんで症例やってみない??」

「は???」



このおばちゃん何言ってんの???

ナースなりたてナースは一年に一症例、研究と発表があります
このときわたしはナース三年目で、誰に的をしぼるか迷っていました
そろそろ大きい症例をやらなきゃいけないな、とは思っていましたが
まさか


「脇田さんはたんぽぽちゃんを嫌ってやってるわけじゃないのよ。あなたに親しみがあるから、あなたになら頼みやすいから頼むんじゃないかしら」

「絶対ちがいます!脇田さんは入院のストレスから看護婦をいじめて楽しんでるんです。性格悪いんですよ、あの人」

「そうかしら・・・だったらスタッフみんなにあたってもいいんじゃない?あなただけにっていうのは、あなたにはぶつけやすいってことなのよ。これってすごいことなんだよ?」


そんなこと言って、ゆりちゃん脇田さんのこと全部わたしひとりに押し付けようとしてる
って思いました

その晩直指(直接指導者)のKちゃんにその話をしました
Kちゃんは同期入職ですが、彼女のほうが年上で免許も取っての入職です
なので看護婦としては経験も先輩なんです
でも同期でおまけにアパートの部屋が一軒おいて隣なのでしょっちゅう互いの部屋に入り浸りでした

Kちゃんはしばらくふーんと聞いていましたがやがて目をきらきらさせて言いました
 
「おもろそうやな、その話。やったろやないの、症例」

なんでこうなるの

売られた喧嘩

でもありません

ていうか誰とも喧嘩したくありません





症例をとるときは実名など個人情報は伏せますが
一応患者さんにも了解をもらいます

Kちゃんと一緒に脇田さんにお話にいきました

「というわけで、脇田さんにもご協力お願いしたいのですがよろしいですか?」

「・・・」

「脇田さん、いやだったらいいんですよ。無理言いませんから」


お願い いやだと言って



「・・・それをやるならお前はおれの専属看護婦なんだな」


「専属ってわけではないですが、引き続き担当させてもらいます」

とKちゃん


「じゃぁいいぞ」







「よかったな!おもろい症例にしよな!」

Kちゃん、そこ張り切るとこですか

おもろい症例って



わたしの白衣は灰色から喪服にかわりました(気分でした)




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