バトル 4
翌日から家族構成から職歴、何から何まで洗い直しです
「脇田さん何人兄弟なんですか?」
「6人」
「何番目?」
「長男」
「上から順に男、女 って教えてください」
「全部男」
「・・・」
「なんだ」
「いえ、なんにも」
6人全員脇田さん
恐怖!
「おいくつのころから大工さんされてるんですか?」
「14」
「はや!中学生??」
「昔は中学なんかなかったんだ」
「脇田さん若いころもてたでしょう~」
なんて具合に、わたしの見事な話術によって脇田さんの過去が暴かれていきます
「それじゃ家族構成もう一度教えてください。今は奥さんと長男さんご夫婦とお孫さんと住んでらっしゃるんですよね。長男さんはおいくつですか?」
「・・・」
「・・・脇田さん?」
「一緒には住んでいない」
「え?でも入院時のサマリーでは・・・」
「一緒には住んでいない。妻だけだ」
「別棟ということですか?離れとか??」
「こっちにはおらん。出て行った」
入院、転科のサマリーでは6人家族(同居)になっています
「仕事か何かの都合で転勤とか?」
「3年前に孫も連れて出て行った」
そういった後脇田さん、寝っころがっていつもの窓側向いて黙り込んでしまいました
なんだかややこしい話暴いてしまったようです
翌日奥さんが洗濯物を取りに見えたので聞いてみました
息子さん夫婦とお孫さんは脇田さんと折り合いがあわず、3年前に出て行ってそれきり一度も顔を出さない、ということ
お孫さんはちょうどわたしと同じくらいの人がいて、専門学校に通っているということ
本人が言うなと言うので今でも同居しているということにしている
とのことでした
世間体を気にしているんだろうか
そのわりにはあまり人当たりよくないな脇田さん
矛盾してるぜ脇田さん
「脇田さん、おはようございます。お体拭きにきました」
「・・・」
拒否しないのでOKなんだなという感じで全身清拭を始めます
脇田さんは状態が安定しないので入浴許可が下りません
ベッド上で体を拭くだけです
いつものように脇田さん窓のほう向いてあぐらです
こんなにごつごつになってしまって、ベッドで寝てばかり
体中痛いだろうな
しゃんとして気丈に見えるけど
そうとう疲れてるな
この背中
蒸しタオルで肩のところをじわーっとあっためます
あー脇田さん気持ちよさそう
蒸しタオルでなんだかこちらまで凝りがほどけていくようです
「脇田さん、お風呂入りたいですよね」
「・・・」
「熱めのお風呂にずるずる~って入ってみたいですよね~」
「わしも熱い風呂が好きだ」
「脇田さんもですか。わたし小さいころは熱いお風呂がきらいで。母はすぐあっつくするんですよ。いやだったなー。でもじいちゃんはぬるいお風呂でうれしかったなー。でも今は熱好きなんですけどね」
「・・・」
今
脇田さんと意見が一致したな
確かに一致したな
「脇田さん、入浴許可が出たらお風呂入りましょう!熱めで」
「お前には入れてもらわん!」
「なんで!」
「なんでもだ。お前なんかにできるか!」
決裂です
あっさり決裂です
「くそーせっかく意見一致したのに。なんであんなに頑固なんだ」
ナースステーションへもどりKちゃんにぐちります
「ふふふん」
Kちゃんはあいかわらずのんきです
そんなふうにしてKちゃんや他のスタッフに見守られながら
ますます!脇田さんとわたしの仲は深まってゆくのです
「脇田さん何人兄弟なんですか?」
「6人」
「何番目?」
「長男」
「上から順に男、女 って教えてください」
「全部男」
「・・・」
「なんだ」
「いえ、なんにも」
6人全員脇田さん
恐怖!
「おいくつのころから大工さんされてるんですか?」
「14」
「はや!中学生??」
「昔は中学なんかなかったんだ」
「脇田さん若いころもてたでしょう~」
なんて具合に、わたしの見事な話術によって脇田さんの過去が暴かれていきます
「それじゃ家族構成もう一度教えてください。今は奥さんと長男さんご夫婦とお孫さんと住んでらっしゃるんですよね。長男さんはおいくつですか?」
「・・・」
「・・・脇田さん?」
「一緒には住んでいない」
「え?でも入院時のサマリーでは・・・」
「一緒には住んでいない。妻だけだ」
「別棟ということですか?離れとか??」
「こっちにはおらん。出て行った」
入院、転科のサマリーでは6人家族(同居)になっています
「仕事か何かの都合で転勤とか?」
「3年前に孫も連れて出て行った」
そういった後脇田さん、寝っころがっていつもの窓側向いて黙り込んでしまいました
なんだかややこしい話暴いてしまったようです
翌日奥さんが洗濯物を取りに見えたので聞いてみました
息子さん夫婦とお孫さんは脇田さんと折り合いがあわず、3年前に出て行ってそれきり一度も顔を出さない、ということ
お孫さんはちょうどわたしと同じくらいの人がいて、専門学校に通っているということ
本人が言うなと言うので今でも同居しているということにしている
とのことでした
世間体を気にしているんだろうか
そのわりにはあまり人当たりよくないな脇田さん
矛盾してるぜ脇田さん
「脇田さん、おはようございます。お体拭きにきました」
「・・・」
拒否しないのでOKなんだなという感じで全身清拭を始めます
脇田さんは状態が安定しないので入浴許可が下りません
ベッド上で体を拭くだけです
いつものように脇田さん窓のほう向いてあぐらです
こんなにごつごつになってしまって、ベッドで寝てばかり
体中痛いだろうな
しゃんとして気丈に見えるけど
そうとう疲れてるな
この背中
蒸しタオルで肩のところをじわーっとあっためます
あー脇田さん気持ちよさそう
蒸しタオルでなんだかこちらまで凝りがほどけていくようです
「脇田さん、お風呂入りたいですよね」
「・・・」
「熱めのお風呂にずるずる~って入ってみたいですよね~」
「わしも熱い風呂が好きだ」
「脇田さんもですか。わたし小さいころは熱いお風呂がきらいで。母はすぐあっつくするんですよ。いやだったなー。でもじいちゃんはぬるいお風呂でうれしかったなー。でも今は熱好きなんですけどね」
「・・・」
今
脇田さんと意見が一致したな
確かに一致したな
「脇田さん、入浴許可が出たらお風呂入りましょう!熱めで」
「お前には入れてもらわん!」
「なんで!」
「なんでもだ。お前なんかにできるか!」
決裂です
あっさり決裂です
「くそーせっかく意見一致したのに。なんであんなに頑固なんだ」
ナースステーションへもどりKちゃんにぐちります
「ふふふん」
Kちゃんはあいかわらずのんきです
そんなふうにしてKちゃんや他のスタッフに見守られながら
ますます!脇田さんとわたしの仲は深まってゆくのです
Posted by 女神ちゃん at
◆2012年04月13日00:44
│看護婦シリーズ