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オペ室勤務 5 最終話

大声で歌いながら泣き笑い(?)しながらかなり適当に掃除を済ませ
さっさと片付けて着替えて足早にエレベーターに乗り込みます
その早いこと
やればできるんです

エレベーターの中はひとり
鏡は見ません!
振り向きません!
唄います!

チン

3階あたり
大口で唄っていたところにエレベーターのドアが開き
付き添いさんかお見舞いの患者さんが乗り込んできます

本来なら恥ずかしい姿なのでしょうが
もうその人にすがり付いて泣き出したい衝動に駆られます
衝動を抑えます
うれし涙で前が見えません

一階まで降りて受付まで行きます 前のめりです


「なんできてくんなかったんだよ~!」

鼻水も涙も一緒になってぐちゃぐちゃです

「きたねー!よるな!!」


そのあと福田くんにフルーツ牛乳を買ってもらい鼻をかんで
帰りました


翌日
朝からオペ室勤務
オペ室のナースさんが言います

「昨日の足、誰が運んでくれた?たんぽぽちゃん??ありがとう 重かったでしょ」

「はい? 足って??」

「ダンボールよ  長いの」

「はい??」

「日誌見た?アンプタ(切除、切断)あったでしょ  第1(オペ室)で」




わたしは前日、生霊に話かけられていたのでした











おわり







  

Posted by 女神ちゃん at ◆2011年10月27日22:19看護婦シリーズ

オペ室勤務 4

おじさんこっちを見ています
目が合いました

へ?
という顔したと思います わたし

そしたらおじさんこういうんです


「おれの左足どこ行った」


「へ??」


今度は声出して言ってみました

そしたらおじさんもういませんでした



?  ??



びっくりするやら気味が悪いやらで
ぞうきんほっぽりだして
ミーティングルームまで飛んでいきます

といってもだーれもいません
急いでゆうせんの音をあげてJ-POPなんかにします
こんなときは日本語が一番落ち着くんです(ほんとです)

心臓がバクバクいってます

落ち着け 落ち着け


いくらびっくりしたからといってもこのまま掃除ほっぽりだして帰るわけにもいきません
落ち着きたいので電話までいってみます
受話器を上げ一瞬迷ったけど内線まわしてみます

「はい 受付福田です」

「福田ぐ~ん!(泣)」

福田くんは同期ですが大学出で年上の事務さんです
わたしより怖がりです


「なんだお前か さぼんなよ」

「お願い 6階までぎで~(泣)」

「は?どうした??」

「出た~(泣)」

「へ??やだよ!なに言ってんだよ  ちゃんと仕事しろよ」

ガチャン



なんだよこのやろ~!
恋愛相談のってやってんのに
恋のキューピッドもやってやったのに
冷てぇやつだ



でも人の声をきいたせいかちょっと平静を取り戻し

よしっ!!!

再び掃除を開始です
もう歌唄いまくりの踊りまくりです


オペ室は窓はなく空調してあるので風が急に吹いてきたりすることはありません
それでも第5オペ室のほうで点滴台が動いたり
第1オペ室の入り口に立てかけてあるモップが倒れたり
器械がガチャなんて音をたてたり準備室のガウンが落ちたりします

もう何でも来やがれ!!!です



  

Posted by 女神ちゃん at ◆2011年10月27日21:47看護婦シリーズ

オペ室勤務 3

第2から第5まで終わりました
一部屋ごとに消毒薬は作り変えます
なかなかに時間がかかります

あーはよ帰りたいなぁ
外はもう真っ暗なんだろうな

オペ室ですから
窓は当然ありません
ちなみに隣の霊安室にも解剖室にも


消毒薬を作り変えて第1オペ室の壁拭きをします
奥から入り口に向って拭いていきます

壁の方見ながら出入り口の自動ドアのところまで拭き進めていくと
(掃除中なので自動ドアのスイッチはオフにしてあります)
ふと真横、右隣に気配を感じるのです
へ?
と思って横を向いてみました

おじさんが病院の寝巻き姿で立っていました


  

Posted by 女神ちゃん at ◆2011年10月27日21:42看護婦シリーズ

オペ室勤務 2

「お願いしまーす」

「手で持ってきたの??」

「はい 意外と軽かったんで」

「あ そう ごくろうさま」

 

またエレベーターで6階まで上がって今度は掃除です
オペ室の婦長が帰っていきます

「あとよろしくね~」


みんなが帰った後とりあえずクラシックの流れているゆうせんを
アメリカンヒッツに変えます
音量もぐんと上げちゃいます
がんがんです
だって6階、だーれもいないんですもん
オペ室と霊安室、解剖室だけしかない
霊安室にだれか寝てたらだーれもじゃないけど
チーン


さぁて
掃除の前に
腹が減っては歌も唄えないので
腹ごしらえです
コンビニで買ってきたパンとコーヒー牛乳を取り出し
腰掛けます
どんなオペが行われたかなどの記載のある日誌が置いてあるので
その日どんなオペがどの部屋で行われたかをだいたい見てみます


ゆうせんからはシンディ・ローパーが流れています
ゴキゲンで大声で歌います

とりあえずお腹に食べ物が入ったので
腹いっぱいになったのかどうなのかはわかりませんが仕事にかかります

バケツに消毒薬を配合し雑巾で壁を拭きます
まず小さい部屋から行きます
でっかいのは面倒なので後回し

ふんふんと鼻歌まじりで壁を拭き拭き
その後は床のモップがけです
同じようにまた消毒薬を作り床を掃除します

だいたいの汚れはオペ終了時にナースさんが拭きとっているので大して汚れていません
が、まれに血がこびりついててなかなか取れないこともあります
吸引瓶には血液や洗浄液がたっぷり残っています
それを外して運びます
滑って転んだら最悪です
慎重に運んで瓶を消毒液に浸します
モニターやワゴンや寝台も拭き拭きします
床もモップで拭き拭きします
ボンジョビがゆうせんから流れてきたりするとモップの柄はマイクスタンドになります
  

Posted by 女神ちゃん at ◆2011年10月27日15:42看護婦シリーズ

オペ室勤務

これまでの病院関連のお話→普通のお仕事
普通のお仕事2
Xさん2345
労働者のまち
婦長
酸素ボンベの瀬上さん
瀬上さん 2
瀬上さん 3
瀬上さん 4 最終話
病院シリーズですか
夏向け 病院のハナシ
夏向け 病院のハナシ 2
夏向け 病院のハナシ 3
お馬さん
お馬さん 2
お馬さん 3
お馬さん 4
お馬さん 5 最終話

幽霊話、リクエストあったんですが
こういう話ってのは普通に世間話みたいに話すとどうもマズイみたいですね
世の中は「見える」人と「見えない」人に分類されていて、
「見えない」人にとっては「見える」=「あぶない人」ということになってしまうようなんです
それまで友だちだと思ってた人が急によそよそしくなったり、
あからさまに電話を切られたり
塩を投げつけられたり

なんてことはありませんが
「見える」人にとってはそんなつもりがなくても見えたり感じてしまうので
それが当たり前で、疑いようがない
「見えない」人にとっては目に見えないんだからまったく信じられない!
こいつ頭おかしいんじゃないか?!
ていうことなんだと思います

たぶん永遠に和解できないもんだと思っております



わたしは20代、とある市の総合病院に勤めておりました
午前中仕事、午後授業(または実習)、夕方からまた仕事
という具合に学校と職場を行ったり来たりで働きながら看護婦学校に通い、免許をとりました
その学生だった頃、中央材料室と隣のオペ室に配属だったことがありました
といってもまだ免許も持たないためオペ室に勤務と言っても
直接オペに立ち会うことはありません
見学はさせてもらいましたけどね
学校が終わって夕方仕事に出て行くと、
オペも終わりミーティングも終えたドクターやナースが帰るのと交替します
学生のわたしのために「掃除」といった仕事がちゃぁんと残してあるのです

「第1、2、3、5オペ室までお願いね  あとここのダンボールは今一階まで運んでもらえるかしら」



とりあえず言われたダンボールを一階の言われたところまで運びます
横に大きい(長い)ので台車で行こうかな
と思ったけど持ってみたら意外と軽かったので手で持ってエレベーターに乗りました

6階から1階
6階から利用する人なんて滅多にいません
途中からも誰も乗らず下まで一気に下りました
エレベーターの中の自分
ダンボール抱えた自分

ん オペ着 なかなか似合ってるな

なんてエレベーターの中の鏡でチェックしながら

チン


ダンボールを抱え降ります

中のものが箱の中で転がっています
箱ぎっしりに詰まってるんじゃないんだな

なんて思いながら

箱の中身はなんじゃろな
壊れ物じゃないよな

なんて思いながら

下で待っていた職員さんに手渡します

  

Posted by 女神ちゃん at ◆2011年10月27日15:07看護婦シリーズ